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レビュー

劇団宴夢へ参加団体からの感想・講評

何もない舞台から自分たちで投げた真っ白な紙で作り上げられた舞台に面白さを感じた。 抽象的な舞台で現代の問題であるコロナを含めた様々な問題が表されていたところにワク ワクさせられた。今回の世界観を表現するには日常では考えられないモノが題材となって いたため一度の観劇では伝わりきれないものがあったのでは無いかと思う。何回も観ると 観るたびに考えさせられることが異なり面白い舞台であると思う反面、実際に伝えたいこ とは何なのか疑問に感じた。音と光が抽象的な世界観を作っていたと共に役者の動きの速さが魅力的であった。しかし、無いものを見せるための動きが役者個人で異なっていて表されてるものの想像がしづらかったことと身体を限界まで使いきれていないところにもったいないと思った。

■ポケット企画 出演 齋藤明日香

 

抽象的、というよりは断片的な舞台だと感じました。タイトルやフィボナッチ数列、銀河鉄道の夜などから宇宙や生命、距離といった大きなテーマを扱っている事はわかりますが、各々の繋がりが一時的な演劇鑑賞において伝わりづらかったのかなと思います。
また、個人的なものですが、全編通して問題提起の場が長時間続いたことで役者ではなく構成を重視して見てしまいました。そこから観客の欲求と差異が生じてしまうのではないかと思いました。
しかし、数字の羅列の演出は言葉とは異なる本質を語るものであり、またそれを実行することに衝撃を受けました。今後参考にしたいと思います。ありがとうございました。

■東北連合 舞台監督 秋山裕貴

 

時世的に他者との距離を取らなければいけない,というテーマを抽象的なセリフと演出によって描かれた作品だと思いました.天井から吊り下げられている惑星に見立てた装飾が素敵でした. このテーマに対して一番何を表現したかったのか,という点は曖昧であると感じてしまったのですが,丁寧な世界の中で予測が難しい展開が魅力的でした.

■ごじゃりまる。 舞台監督

観劇中終始ポカポカしてました。 

提示しすぎない、点と点が繋がっていくような劇。その節々に、この劇団の人たちの優しさが感じ られてとても心地よかったです。 

たくさんの情報に苦しめられて、下を向いてばかりいるけど、どんなときでも上をみたら繋がれる んだよって、。 

今日はゆっくり眠れそうです。

■ごじゃりまる。 演出助手

 

インタビューや前置き通り、現在の状況だからこその距離のお話でしたが、コロナを差し引くと、月の物語だと感じました。月は地球から毎年数センチほど離れていっていると聞いたことがあります。我々人類は月とともに暮らしているけれど、まだわからないこともたくさんあり、何度か着陸をしているものの、まだまだ簡単に遊びに行くことは出来ない、元々は地球の一部だっただなんて言われていたけど、今はどんどん遠くへ行ってしまっている。そんな身近だけど、遠い存在である月と、これからもずっと一緒にいたい、いつかは会いに行きたい。そう読み取りました。

■劇団Noble 音響オペレーター

 

全体として、コロナ禍の現在で、様々な問題がある中、自分達の生活は、心情は、これか らは、どうなっていくのか、どうしていくのかをテーマにされていて、考えさせられました。 遊びたいけど遊べない、人との距離は遠いけど心の距離は近い、というように、コロナ禍の 私達の心情を、老若男女に広く伝えている感じがよかったです。 

私達も全国の学生や演劇関係者と実際に会いたかったし、北海道に行きたかったです。 宴夢さんもこの公演のように、演劇やこれからの長い人生を頑張ってください。私達も頑張 ります。稚拙な文章ですみません。お疲れ様でした。

■ゆとりユーティリティ

 

夢を見ているかのような作品でした。

場所も時間軸も登場人物たちの感覚もすべてに一貫性がなく見えて、それが幻想的でふわふわ浮いているような。

いい意味でつかみどころのない雰囲気を作り上げていたのかなと思います。(個人的な解釈です。違ったらすいません。)

そんな中で、セリフの節々に「私たちが今生きているリアル」が垣間見えて、それを嘆くまではいかないけど、ちょっと小言をいう程度に受け入れている登場人物達がいて。

うまく言葉にできないのですが、なんていうか手放したくないあったかくて愛おしい空間でした。

■あたらよ 関係者

 

どこか SF 的にも感じられる無機質な世界観だと感じましたが、⼈と⼈との間に距離が⽣まれた世界の異質さがうまく表現されていると思いました。最初は意思疎通できていなかった数字のキャッチボールが分かり合えた瞬間は、俳優と観客の⼼がリンクする劇的さがあったように感じました。暗闇の中を⼀⼈⼀⼈が進むシーンを⾒た時、全国それぞれの劇場空間で芝居を繰り広げ、この演劇祭を通して繋がっている私たちと重なって、最後の俳優たちのエールが、⾃分に向けられたもののように感じられ、嬉しい気持ちになりました。

■ふしこ 役者

 

まさに演劇!を観ている気分になれました。

この作品は、知識があるからこその面白さがあり、それぞれの意味の美しさを、リズム良く音響や照明と共に組み込むことによって、見る側が受け取りやすく伝えているところが上手いと思いました。

また、画角を広く撮っているので、この作品に大切であろう距離感がみるだけで感じられて良かったです。物を吊るす·ばらまくことによってより空間を感じられました。逆に、映像では直接世界観を感じられにくい部分もあり、大変もったいないです。きっと実際に感じると全然違うんだと思います。是非現実で引き込まれてみたいです。科学館に行きたくなりました!

■おちゃめインパクト 美術 坂井