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企画

ふしこの観劇レビュー

四国・ふしこ

長崎県 荒木宏志さん(劇団ヒロシ軍)

nagasaki

はじまりからグググと惹きつけられました。うっすら暗い中、女性が灯りを置いて座布団取りに行く時のサッサッて微かに聞こえる足音でグググと惹きつけられました。これからどんな話が始まるんだろうっていろんな想像がぐるぐる頭の中を駆け巡りました。もう好きです。

 

いざ始まると3人の女性の会話劇で、これまた3人とも声がそれぞれ魅力的でとても聴き心地が良かった。あと40分は余裕で聴いてられました。もしも、3人がラジオ番組やるのであれば毎週、聴きます。メッセージやリクエストも程よく送ります。それくらい魅力的でした。

 

なんか最初のシーンで3人が揃った時、ほんの少し無言でちょこっとだけ気まずい空気を感じたので、こりゃ何かあるのかなぁと思ってたら、ほんとに最後に何かあったので、ちゃんとまとめてるなぁって思いました。ただ最後のシーン、セリフで伝えすぎた感があって、まるで夢オチ喰らったかのような気持ちになりました。でも最後、まこちゃんが呉服屋青木に残ると言ってくれて、なんか嬉しかったですし、呉服屋青木をこれからも応援したくなりました。

 

福井県 影山じろうさん(劇団福井自由舞台)

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 タイトルが右から左に読ませる『木青屋服呉』。冒頭に登場する女性の『着物』。その女性が持って来る『行燈』。それらがひと時代昔を連想させ、この芝居は明治か大正か、少なくとも今の時代より昔であると思わせてくれた。スッとこの世界に入ることが出来たので、バツグンの導入でした。

 

 芝居の大部分は3人の女性による会話劇である。私は男性なので、世の女性・奥様は旦那の見ていないところでこんな会話をしているのかと感じた。なんだか見てはいけない世界を見ているようで、むず痒いような恥ずかしいような、それでいてもっと見たくなるような気分にさせられた。

 いや、ジェンダーフリーがうたわれる昨今において、女性が男性がという発言は野暮というもの。となれば性別は関係なく、家族が家族以外の存在(例えば友達)に見せる別の顔が出ているのであろう。すると私の妻は友達の前でこんな風に笑うのか、知らなかった、と普段は見られない顔を見ているようで、やはりむず痒いような恥ずかしいような、それでいてもっと見たいと思わされた。

 

 別の顔という意味でラストに驚きの展開がやって来る。女将の裏の顔が垣間見えてくるのだが、その表情に悲壮感はなくむしろ晴れやかに見える。今まで旦那のために尽くしてきた表の顔も、秘密を抱えている裏の顔も、どちらも女将のありのままの姿であるのだろう。表も裏も考えず、自分の気持ちに正直に生きることが健全であると、私は感じた。健全に生きて行こうと思います。

 

 ラストシーンで、女将が種明かしとなるセリフをすぐに言ってしまうのだが、もう少し無言の時間を長くしても良かったと思う。セリフのない間を作ることで「何を [……全文はこちら

 

岩手県 村田青葉さん(演劇ユニットせのび)

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もっと「演劇」を効果的に使えたら良いなあ、と思いました。

 

たとえばはじまりのシーン。

薄明りの中、女性が行燈を持って入ってくる。

そのあと一度ハケて、座布団をセッティングする。

 

ここの部分は、「何が始まるのだろう」「どんな世界観なのだろう」とドキドキしながら見ることができました。

しかしそのあと、さらに2人女性が入ってきてから、ただ淡々と会話劇が広げられていくところで、少しずつ気持ちが離れていってしまいました。

 

役者さんそれぞれが良くも悪くも真っ直ぐで、個人的にはとても好感が持てました。しかし、演劇として見ると、もう少し生身の空気感を感じたかったです。

というのは、セリフ(脚本)の優先順位が高いように感じました。

それを遂行するように、役者がいるように感じてしまった、ということです。

 

当然、そのようなお芝居であるので、なにか動きが欲しいとか、話に大きな展開を用意して欲しいとか(最後のいわゆる”オチ”では、そのような展開がありましたが)、そういうわけではありません。

たとえば、インタビュー動画でもお話しされていた、今の社会の男性の優位性について、演劇で伝えようとしたときに、果たしてこの設定でよかったのか、と思いました。

 

とても繊細な問題で、とくに「ふしこ」の皆さんがこれから向き合い、戦っていかねばならない問題です。

それに対する解決はあれでよかったのか。

もっと、皆さんの感じていた生身の葛藤を僕は感じたかったなと思いました。

とすると、設定もこれでよかったのか。

 

みたいになってくるのですが…、これはレビューではなく感想ですね。

すいません。

 

戻って、「演劇」を効果的に伝えたら、というお話で […全文はこちら