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企画

観劇レビュー ルーシー・ラブグッドウィルさん

ohita

大分県 ルーシー・ラブグッドウィルさん(劇団不在)

 

劇団Nobleのレビュー

 

将来に対してどこか不安そうにしている大学生の男女の会話を通して、物語は進んでいきます。私自身はすでに大学を卒業して久しいのですが、確かに当時はそんなことを考えていたかもしれないと、タイムカプセルを開けたような懐かしい気持ちになりました。

登場人物の男女は、日常を繰り返すものとして捉えているようでした。その象徴として毎日のように乗っている電車が舞台として登場します。彼らにとって電車とは、日常のワンシーンを切り取ったものであり、ほぼ毎日一定時間を過ごす場所だったのでしょう。しかし平穏な車内とは対照的に車体自体は乗客を内包し、それなりの速さで目的地まで移動しています。目的地では下車しなさいと急かされるあたり、モラトリアム期との同一性を感じました。

印象的なシーンが断続的に続いていく構成は、短い連作の詩を連想させました。

舞台装置と衣装はシンプルなものではありますが、シーンが切り替わるときには音や照明が舞台を彩り、効果的に機能しあっています。

セリフと動作がチグハグであったり、俳優同士の位置関係も噛み合わない。そんな不条理なシーンがほとんどです。これによって客席方向から見ているはずなのに、三次元以上の広がりをもった空間として舞台を捉えることができました。

物語も、直接は無関係に見える話を挟みながら進みます。義務教育で学んだような物語からの引用も使われています。直接ノスタルジーに訴えかけられながら、物語の内面部分に入り込めたような気がして面白く感じました。

ただ俳優の動きが日常の動作の延長であったり、どこかで見た動きの引用であったりしていたところに少し引っかかりを覚えました。どこかで見た動きは確かに記憶に作用してくるのですが、それがもっと練り上げられたオリジナルの身体表現であったらどうだっただろうと考えてしまいました。