レビュー
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劇団Nobleの観劇レビュー

兵庫県 佐倉ハルキさん(劇団桜月会)より
男女2人による会話劇…と呼んでいいものか。会話劇のようでアングラみたいな…ある意味青春芝居とも言える気がしました。
まるで車窓の景色を見るかのような不思議な感覚を覚えるお話でした。
はじめ、電車から始まる物語は出会いを想起させるものの始まりでは無く終わりに向かうかのようなストーリーの進み方を見せてバッドエンドのお芝居なのかなと思いました。
しかしながら、途中から文学的な要素が入ってきて宇宙な原始など劇団名の通り壮大なところまで話が広がっていき初めの印象はガラリと変わっていきました。個人的にはもう少しその辺りに踏み込んだストーリー展開も観てみたかった気がします。
とはいえ、宇宙のように壮大な思考にまで広がった2人が原点ともいえる(少なくとも僕はそう感じました)村で再会した時には良い意味で鳥肌が立ちました。
少し残念だったのは、映像という影響もあるのかもですが照明効果の影響でキャストさんの動きが見えなかったシーンがあったところです。最後の余韻ももう少し欲しいと感じました。
「始まりがあって終わりがある」物語では無く、「ある2人の人生の一部分を切り取った」物語であり、あの2人はこれからも原点である村のことを忘れずに遥か先を生きていくのかなぁ、と凡庸ながら思いました。
とても素敵な作品でした。ありがとうございました。
大分県 ルーシー・ラブグッドウィルさん(劇団不在)より
将来に対してどこか不安そうにしている大学生の男女の会話を通し
登場人物の男女は、
印象的なシーンが断続的に続いていく構成は、
舞台装置と衣装はシンプルなものではありますが、
セリフと動作がチグハグであったり、
物語も、直接は無関係に見える話を挟みながら進みます。
ただ俳優の動きが日常の動作の延長であったり、
茨城県 前島宏一郎さん(イチニノ)より
演劇と向き合う上で、「ルーツ」というのは一度は通る道だと言えます。
今回の2人の俳優が、物語に出てくるような「村」の出身かは定かではありませんが、少なくとも、作品づくりの過程で自分の「ルーツ」と向き合うことになったのでは、と推察します。
一つ一つのシーンや、文学作品を絡めた展開は、決して特筆するほど目立ってはおらず、悪目立ちせずまとまっているとも、インパクトが弱い、とも言えるかもしれません。
そのなかで、終盤で「村」で会話する2人は、その「村の空気」をまとっまたまま会話されるべきなのかな、という大切な場面だったと思います。
ここからエンディングに至る流れは、少しイメージが弱いかなと感じました。
個人的には、演劇は「何を語るか」ではなく、「語らない時間はどこからくるのか」にポイントがあると思っています。
そういった空間・空気を感じるという点では、映像は難しい媒体ですが、もう少しずつそういった空間を感じさせる呼吸の余白やその強弱ががあれば、観る側に新しい旅を想起させてくれるような、そんなロマンのある作品に仕上がる可能性があったのではないかな、と思います。
自分はどこからきて、どこにいて、どこへ行くのか。
これからの人生において、そういった赤裸々な空間や空気を表現できるできるよう磨いていっていただければ、さらに輝いていくと思います。