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企画

観劇レビュー 大木茂実さん

tokushima

徳島県 大木茂実さん(todokeru,)

 

おちゃめインパクトのレビュー

 

姉妹と従姉妹。長女は実家の両親が苦労して次女の学費を工面(自身も次女の仕送りを支援している)。従姉妹は会社の先輩にセクハラ行為を受け、両親に相談しても気にせず会社に行けと言われ。そんな親とは一緒に住めないからと自身の家に逃げてきた長女は受け入れる。次女はデザイン関係の大学に通いつつも自身がやりたい事に疑問を抱えており、各々の悩みや葛藤をフォローしたり時に感情的になりながらも気持ちをぶつけ、擦り合わせる事で解決とはいかなくもそれぞれ一歩を踏み出していく。

目に楽しい衣装や美術。「面会ごっこ」で使っている枠を用いた様々な遊びや、明るいポップチューン感のある曲をバックにダンスで作られたオープニングシーン。
徹底的に「かわいい」味付けで魅せる舞台は好感が持て、飽きる事なく楽しく観られました。
また3人のテンポの良い動きや情感たっぷりの台詞回しは観客を惹きつけるものがあると思います。

それとは別に違和感が生じ、物語に入りにくい箇所が多々ありました。

先ず長女は何故従姉妹に学生である次女へセクハラを受けた話をするように促したのかと、従姉妹も何故それを話したのかという点です。姉妹間で隠し事はしないというルールのような物があるなら別ですが、それにしては従姉妹と次女の会話の各々のやりたい事に関して今まで言及していない所に疑問が生まれました。

また、長女は従姉妹を自身の家に受け入れている事から両親の発言と同じ意識は無い、むしろ従姉妹の心情に寄っていると思われます。その一方で次女の学費を苦労して払っている点で両親を慮っている所の心の整合性のようなものが今ひとつ見受けられませんでした。

タイトルに関連する「99円のキャベツ」が次女の言う自身のデザイン物と同一視する所が具体的な説明がなく彼女の中のイメージとしてしか伝えられていない所がいまいちピンと来ませんでした。キャベツ一個の値段という観点が面白い分残念に感じました。

「雨音」からの連想としてセクハラを受けたシーンを想起する所もあまりリアリティがありません。助けを求めた声が聞こえないという事ではなく、そんな声を上げても先輩は引っ張る手を止めなかった。また、そんな彼女が一ヶ月も仕事を休んでいるのに(会社側の対応も気になります)妻子もいる立場の彼は火消し作業とかしないのかとも思いました。

上記に挙げた物は絶対的な矛盾という訳でなく、あり得ない事とは思いません。
しかし「ん?」という疑問が重なってくる事で素直に物語に没入出来なくなってしまうのが残念でした。

オンライン配信という所を上手く使えている所は好感が持てました。画角にすっぽりはまるような舞台展開。上手面側の通常なら客席があるであろう箇所を玄関口として使う所も上手いなあと思いました。
その分いわゆる舞台的な斜に向かう椅子の座り方が残念に思いました。※メイクをするシーンなどがとてもやりにくそうでした。

最後に、おちゃめインパクトさんはポップテイストでかわいい舞台というのが魅力的な劇団だと思います。
それを活かすのなら設定を等身大、もしくは設定の下調べを徹底した上での劇作をしてみてはと思いました。
とても好感の持てる団体です。これからも頑張って下さい。