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企画

観劇レビュー 仲悟志さん

toyama

富山県 仲 悟志さん(劇団血パンダ)

 

ゆとりユーティリティのレビュー

 

渾身の力で実行される力強いナンセンスの流れに身を委ねていくしかないので、息を殺して画面を凝視し、現場に居れば恐らく感じられるであろう圧力を想定しながらじっとしている。そんな体験となりました。

 

なにはともあれ、一人芝居に他者を持ち込む方法としてのパペットは、シリアスに見えようが見えなかろうが、もっと研究されてもいい形式だという認識を新たにしましたが、終わった瞬間には、作り手の意識として、敢えて可視化した人格と、ストーリーの畳み方との絡みをどの程度意識していたか、そこは伺っておきたくなりました。気になります。

 

罵声が目に見える形として透明なカップが飛んできた後、その罵声の残骸に囲まれて苦悶する絵作りが印象的だっただけに、場面が変わるのであれば、その後にも工夫が欲しかった様にも思います。

 

なにせ、逆転満塁ホームランからの「すべてを置き去りにして回れ!」というくだりは、長い時間力強さを継続できていたし、そこまでのバタバタが昇華されていると見てとれたので、足元のカップの片付かなさが、本当に片付いていないだけの様に見えてしまうのが、非常に惜いと感じたものであります。

 

舞台を埋め尽くす量を、あのパワーで景気良く蹴散らして、結果動き回った場所にうっすら道が見えれば、より爽快感がえられたのではあるまいか。過剰を超えたデストロイな物量。是非、お願いしたかったものです。

 

いきなりどこに行ってしまうんや。ケリがつくまで、そこでぐるぐるしていてくれよ。

 

と、そんな心地良いロックなカオスを提供していただきました。