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レビュー

あたらよへ参加団体からの感想・講評

まず没頭できる行為(ジェンガなど)が俳優に割り当てられているところが実験的で面白 い。 “下心”というキーワードが劇前半に強調されるからこそ淡々とした台詞回しにも緊張 感があり男女の“上辺の感情”がしっかりと伝わった。 

また、劇冒頭の同時多発も良い効果があった。その後の普段は見えない感情の変化を可視 化させたシーンや台詞(モノローグ)に無理がなくなり、現在進行形で目まぐるしく変わる 心情の変化をうまく表現していた。 

説明的すぎる演出や台詞回しが気になる点もあったが、実験的且つ“等身大である”という ところに好感の持てる作品だった。面白い!

■ポケット企画 サンペイリュウタ

 

小道具で登場人物の関係性を現しているのが面白いと感じました。ジェンガが崩れるシ ーンまでの女の子の葛藤、息苦しそうになりながらも切羽詰まって積み上げていったもの が崩れる決定打が、彼氏の「美味しくない」という些細な一言でした。何気ない言葉で崩れ てしまう脆い関係性がわかりますし、全てが崩れる言葉のチョイスに共感してしまいます。 

ドミノの緊張感が映像とは段違いだと思うので、実際に観てみたいと思いました。 

■東北連合 作・演出 茂木瑠那

 

まず積み上げるジェンガや1つ崩れれば連鎖するドミノ、嘘の押し付け合いのトランプに人間関係 を喩えるという発想が秀逸で素晴らしかったです。ゲームに見立てるということそれ自体も人間関 係に対する捉え方として優れている上に、本来目に見えないものの視覚化という点でも良かった 

です。また、音響や照明の演出の点でも引き算の美学というのか、序盤中盤でのサスの細かな 変化や最小限の音響からの最後の畳み掛けが際立っていると感じました。特に音響の短調風で ペースを変化させる通知音は息を呑みました。

■ごじゃりまる。 舞台美術担当

 

「会話劇」というタイトルの劇が、「私達に会話は向かない」という着地をするのは、いい意味で予想を裏切られました。

終始大きく絵を変えずに話を展開していくことに信念のようなものを感じ、また効果的だったように思います。ただ、映像としては少し見づらさが残りました。話の展開、構造に面白味を感じたので、リアリティの追求をしてみても面白いのかなと思いました。(そのアプローチが戯曲的なのか演技的なのかは判断に悩むところです)

■劇団Noble 俳優

 

全体として、それぞれの人間関係や人間像の表現や演出が独自の世界というか色を出していました。ドミノ、トランプ、ジェンガをただやっている。それらを始める、崩す、終わるタイミングによって、その人の微妙な感情の変化が現れるところにグッと来ました。個人的に好きなシーンは真ん中の男が思いを伝えられないし、友達だから伝えてはいけないと思うし、かといってようやく伝えようとしたときにはもう遅かったところが好きでした。

心の中の形容し難いほど絶妙な位置に台詞が刺さり続けて、何とも言えない感情になりました。「いいね」を100万回押したいです。

稚拙な文章ですみません。お疲れ様でした。

■ゆとりユーティリティ

 

ドミノを並べることを、人と人との関係性に例えているのがとても好きで、的確な表現だなと思いました。ドミノ倒しと言うように危うさをはらんだイメージがあるので、それが登場人物たちの関係性とリンクする瞬間がたまらなかったです。私たちはスマートフォンやSNSの普及で簡単に他人とやりとりできるようになりました。そのような現状の中で、全てのセリフがLINEのやりとりで構成され、会話はまだ早いと表現されていたことで、自分の人間関係について考えさせられました。

■ふしこ 役者

 

教室で目を瞑って聴いているようなざわざわ感から、明点した最初の映像としての雰囲気はとても素敵だった。ここからどう変化するのだろうとわくわくした。言葉の音の使い方が面白く、トランプ、ジェンガ、ドミノを使用した演出はとても心に残った。「一瞬で関係は壊れる」「壊したら大変」「自分で壊すことができる」ということが視覚的に理解することができ、何かを表現することの面白さを見出すことができた。衣装や照明も引き締まって見え全体の舞台作りの雰囲気はとてもよかったが、画面の変化が大きくない分、集中力が切れ聞き逃すともう着いていく元気がなくなる。ジェンガで性行為を表現するなどゲームを用いた表現方法が学びになった。

■おちゃめインパクト 役者 松村