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観劇レビュー 前島宏一郎さん

茨城県 前島宏一郎さん(イチニノ)
劇団Nobleのレビュー
演劇と向き合う上で、「ルーツ」というのは一度は通る道だと言えます。
今回の2人の俳優が、物語に出てくるような「村」の出身かは定かではありませんが、少なくとも、作品づくりの過程で自分の「ルーツ」と向き合うことになったのでは、と推察します。
一つ一つのシーンや、文学作品を絡めた展開は、決して特筆するほど目立ってはおらず、悪目立ちせずまとまっているとも、インパクトが弱い、とも言えるかもしれません。
そのなかで、終盤で「村」で会話する2人は、その「村の空気」をまとっまたまま会話されるべきなのかな、という大切な場面だったと思います。
ここからエンディングに至る流れは、少しイメージが弱いかなと感じました。
個人的には、演劇は「何を語るか」ではなく、「語らない時間はどこからくるのか」にポイントがあると思っています。
そういった空間・空気を感じるという点では、映像は難しい媒体ですが、もう少しずつそういった空間を感じさせる呼吸の余白やその強弱ががあれば、観る側に新しい旅を想起させてくれるような、そんなロマンのある作品に仕上がる可能性があったのではないかな、と思います。
自分はどこからきて、どこにいて、どこへ行くのか。
これからの人生において、そういった赤裸々な空間や空気を表現できるできるよう磨いていっていただければ、さらに輝いていくと思います。