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poco a poco Interview

2015年9月、名古屋学生演劇祭において大賞と審査員賞をW受賞し、全国の舞台へとコマを進めたpoco a pocoの三人。
地元での壮行会を一時間ほど前に終えたばかりの彼女たちに、作品についての思いをうかがいました。
インタビュワーは、第二回の京都学生演劇祭で実行委員会の会長を務め、その後も学生演劇祭を様々な面でサポートしてくださっている玉木青さんにお願いしました。
作品について、演劇祭にかける思いについて、どんなお話が聞けるのでしょうか?
(当記事は、2016年2月8日に配信したインタビューの模様をまとめたものです。)
京都の印象は……お寺?
玉木 poco a pocoさんは、名古屋のいくつかの大学ご出身の方のユニットということで。
三人 そうですね。
玉木 ではお一人ずつ、自己紹介をお願いできますか?
佐口 佐口由希子です。基本的には作・演出と、この前の名古屋学生演劇祭は出演もしていました。ちょうど今日壮行会というものをやらせていただいたのですが、そこでは裏方に徹していました。
玉木 次の全国学生演劇祭では三人とも出られるのですか?
佐口 そうですね、この前の名古屋でやったものを少し改良した作品を上演します。
玉木 では続いて。
宇野 poco a poco代表の宇野藍です。
玉木 あ、宇野さんが代表なんですね!
宇野 はい、私が代表です。基本的には役者と衣装、メイク・小道具を担当しています。
有馬 有馬奈穂です。主に役者、スタッフは制作をやらせていただいています。よろしくお願いします。
玉木 名古屋学生演劇祭で何らかの賞を受賞されて、全国に来られるということですよね?
宇野 そうですね。
玉木 名古屋ではどの賞を取られたのですか?
有馬 大賞と、審査員賞をいただきまして。
玉木 ダブル受賞されたわけですね。
佐口 ありがとうございます。
玉木 京都に来られるのは初めてですか?
三人 各々では修学旅行で(行ったことがあります)。
玉木 やっぱり修学旅行ですよね。修学旅行のときって、どこに行くんですか?
三人 お寺…お寺…。
玉木 ○○寺、とかそういうのは?
佐口 あ、清水寺!清水寺に行きました。
玉木 あーなるほど。清水寺、嵐山。いいですね。
いい役者を集めて、全力でお芝居を作りたいユニット。
玉木 三人で活動するきっかけはなんだったのですか?
佐口 私がもともと二人と別々の団体で共演を舞台でしたことがあって、二人と知り合っていたんです。自分たちだけで妥協なく全力でお芝居を作ってみたらどうなるのかなと思って、私の知っているいい役者を集めてお芝居しようかな、と。
玉木 脚本・演出の目線から見ると、お二人の違いや、こういうところがやっぱりたまらない、というようなところがあるわけですか?
有馬 聞きたい!
佐口 沢山ありますね。お芝居のスタイルから違うんですよ、二人は。基本的には、宇野藍は主人公をやることが多くて、わりとシリアスなシーンが上手なタイプ。主人公感を出してきます(笑) 有馬奈穂はですね、コントの人なんですね、ほぼほぼ。コメディの作品に出ることが多くて。だから、まじめなシーンがまじめにできないっていう。
有馬 そうなんですよ。(頷く)
佐口 でも、これいいところを話すやつだから(笑) いいところを話していきますと、どちらも似ているのは、あたたかいお芝居ができる人だなと。
玉木 なるほど。
佐口 人間らしいお芝居ができる人たちだし、人間らしいお芝居ができるとこまで持ってくる人たちだな、と思います。
玉木 全国からほかの劇団さんが来られるということで、poco a pocoさんが気になっている団体さんとかありますか?
宇野 女の子ばっかり、というのがあるので、かまととさん(かまとと小町・大阪)とか。うちも女の子ばっかりの団体なので、どんな感じなのかなというのが気になりますね。
名古屋からの声援に、ありがとうを伝えたい。
玉木 (今日は)三人での壮行会ということで、ミニお芝居といいますか、短編をされたんですよね。
三人 そうです。
宇野 ちょうどここに、今日のパンフレットがありまして。(画面にパンフレットを写す)会場の方みんなに手書きで作りました。
玉木 壮行会ということは、名古屋から行って来いよ!とファンの方やお客さんが送り出してくださったという感じですか。
宇野 ありがたいことに。
佐口 この前の名古屋学生演劇祭では「スイートピー」という作品をやらせていただいて、今回は「ガーベラ」という10分のお芝居をやらせていただきました。(画面に「ガーベラ」の台本を写す)
玉木 カンパも募ってらっしゃったということでいうことで。
三人 あー!カンパ!そうなんです。(小声)お金がなさすぎて私たち。ありがとうございます…ご協力いただいて。
玉木 京都に行く旅費とか。
有馬 ね、そうですね。活動費とか。
玉木 宿泊費とか。そういう風に応援してくださる方が、三人それぞれについているんですか?
佐口 そんな大層な…端くれです。端くれ。(笑)
玉木 ユニット全体にファンの方がいらっしゃると。
宇野 たくさんの方に助けていただいている団体ですので、壮行会というよりは、ありがとうを伝える会みたいな。こちらとしては、そういう感じです。
玉木 謙虚ですね。
二十歳になる自分たちなりの、思いや物語を込めて。
玉木 久しぶりに京都に来られる予定で、これまでpoco a pocoさんを全然知らない方もお客さんとしていらっしゃいますよね。はじめましての方も多いと思うのですが。
三人 そうですね。
玉木 名刺代わりになる作品なのか、それかちょっと挑戦している部分があるのか。見応えや魅力みたいなところがあれば教えていただけますか。
宇野 この(演劇祭の)ためだけに結成されたユニットなので、挑戦というよりはもうこれが代表作でしかないというか。これを持っていくしかないな、と。
玉木 これが分かっていれば見方が分かりやすい、初めて見られる方にも助けになるようなものはありますか?
佐口 京都でやらせていただく作品は、私が初めて書いた台本なんです。私が感じてきたことを作品にしていて。月日は過ぎていくと色々忘れていっちゃうし、覚えていたこともどんどん忘れていっちゃうかもしれないけど、それでもそのまま前に進めばいいだけなんじゃないか、みたいな。メッセージがある感じですね。できれば、私たちよりも年上の人たちが見たときに、何か思うことがあると嬉しいなと思います。
玉木 団体紹介の方で見ましたが、今年みなさんは二十歳になられるんですよね。
三人 全員、新成人です。この間成人式にも行ってきました。
玉木 お客さんは年上の方がほとんどだと思いますよ。今年二十歳になられるということは、みなさんまだ誕生日を迎えていない、と。
三人 一人だけ迎えてないですね、彼女だけまだ。(有馬を指して)
玉木 十九歳と二十歳で大きく違いましたか?
宇野 意外と、そのままスッて(二十歳になったような)。ここからなのかなって思います。「スイートピー」は、今年二十歳になる私たちなりの思いや物語が入っている作品だと思います。
玉木 三人で結成されたのは、役者さんとしていいなと思われたのはもちろんですが、やっぱり三人とも仲良しなんですか?
宇野 仲良しです。仲良いからたまにご飯食べに行くよね。ミーティングとして、ですけど。
佐口 そうだった(笑)
宇野 でも、仲良いです、ほんとに。バランスがとてもいい団体なんじゃないかなって思います。
玉木 私もお芝居めいたことをしていたことがあるのですが、少しピリっとする稽古場の瞬間ってあるじゃないですか。
三人 ありますねー。
玉木 ありますか?
佐口 やっぱりあります。ピリピリしていますよ。毎日毎日。
有馬 やめて、そんなことないから!
玉木 演出がうまくいかないな、そういうちょっと悔しいな、というのが雰囲気に出ることはありますか?
宇野 しょっちゅうだよね。それはそんなものだと思ってるからね。
佐口 ひとつの団体でまじめに作品を作るにあたっては必ず起こることだと思っているので、そんなには気には留めてないですね。
有馬 開演後には仲良くなりますよ、普通に。
京都で楽しみなのは……
玉木 京都に行くということで、ほかの団体さんとの交流を、というのもあると思いますが、修学旅行以来で、行きたいところ・食べたいものなど何か三人で話されたりしますか?
佐口 京都はラーメンがおいしいと聞いたので、すでに予定に組み込んであります。ラーメンを食べに行くとき!というのが。
宇野 本番をやってラーメンを食べる!というのが決まっています。
玉木 一乗寺ですか?
有馬 もう組み込んであります。大きな枠としてラーメン取ってあるからね。時間の中に。楽しみですね。
玉木 本番を前にしてお忙しいかと思うのですが、ラーメンを食べるための時間もできるだけ取っていただいて。
玉木 全国学生演劇祭はショーケースでありながら賞レースでもありますが、最後に意気込みを聞かせていただけますか?
宇野 はい!意気込むぞー!よーし!
名古屋の代表として恥ずかしくない作品を作って、来てくださる皆さんにも楽しんでいただけるように、残り二週間、一生懸命稽古していきたいと思います。
玉木 よろしくお願いします。
(ツイキャス配信画面のコメント欄を見ながら)何軒か見ていただいた方からお薦めのラーメン屋さんが紹介されていますので、ぜひ検索をしてみてくださいね。
三人 ありがとうございます!
玉木 スケジュールに組み込んでいただいて。
三人 やったー!食べよ!
インタビュー開始前から、和気あいあいとした雰囲気が印象的だったpoco a pocoのみなさん。
同学年の三人のフレッシュで元気なやりとりの中に、妥協しない真摯な作品作りへの姿勢が垣間見え、上演作品への期待が高まるインタビューでした!
poco a poco「スイートピー」は全国学生演劇祭Aブロックでの上演です。
ご予約はこちらから。
書き起こし 吉岡ちひろ
ライター 中澤初奈
(2016.02.12)